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Starlight Kiss【気象系BL小説】

第8章 tragic love①


ー翔sideー


「………」


俺はいつまでもベッドから動けずにいた。
ぼんやりと天井を見つめたまま、脳裏に蘇る先程の行為。


するとバスルームの扉が開き、腰にタオルを巻いた赤岩さんが出て来た。


赤岩「はぁ、気持ち良かった。翔くんは入らなくて良いのかい?」


「………」


何も答えずに居ると赤岩さんはベッドに腰掛け、服を着始めた。


赤岩「いやー去年より良かったよ。最高だった」


「………」


赤岩「これ受け取りなさい」


枕元に視線を向けると、赤岩さんが財布から福沢諭吉を数枚取り出してそこに置いた。


赤岩「長瀬くんには渡してるが…これは特別だ。内緒だよ。最高の夜にしてくれたお礼だ。また…宜しくな」


俺の髪を撫で、赤岩さんは立ち上がった。


「私はパーティーに戻らないといけないがゆっくりしていきなさい」


そしてそのまま、赤岩さんは部屋を出て行った。


ゆっくりと、重たい腰を上げて起き上がる。


「いっ、た…」


下半身に響く鈍痛。
シーツをめくると…うっすらと滲む出血の後。
あまりにも乱暴に突っ込まれたせいか…切れた様だ。


手を伸ばしお札を握り締める。
彼が置いていったお金は…5万円。


数ヵ月前だったら…小躍りしながら喜んだ金額だろう。
でも今は…。今は…。


ぽたぽたと、握り締めたお札に大粒の涙が滲む。


「ふぅっ…うっ…」


どうして…。どうしてこんな事に…。
俺が…俺が今までしてきた事の罰…?
誰彼構わずに引っ掻けて寝てお金取ってたから…?
でもやっと全うに生きられるって…そう思ったのに。
もう…願っちゃ駄目なの?


松岡さん…。松岡さん…!


俺はお札を握り締めたまま、声を上げて泣いた。
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