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Starlight Kiss【気象系BL小説】

第8章 tragic love①


ー松岡sideー


「はぁっ…はぁっ…」


どれ位走っただろうか。
ただひたすら、翔の事を想い、走り続けた。
けれど身体的にはもう限界で。
俺の足と心臓が悲鳴を上げていた。
でも止まれない。早く翔に逢いたい。抱き締めたい。


ようやく先に見えてきた目的地のホテル。
遠目から見ても豪華で、金持ちがパーティーに使う気持ちが分かる。


後少しだ。そう思ってスピードを上げた時、ホテル前の通りを誰かが歩いてるのが見えた。


おぼつかない足取りでふらふらと今にも倒れそうな歩き方だった。


………嫌な予感がする。


俺はその人影に近付く。


「っっ!翔っっ…!!」


ハッと顔を上げ、目が合ったその瞳はまさしく翔のものだった。


「何て事…」


ボロボロに引き裂かれた服を押さえながら歩く翔の顔は…殴られたのか、赤く腫れ、唇が切れていた。
泣き腫らして目も腫れている様で…。


翔「松…岡さん…」


ガラガラに掠れた声で翔は俺を呼んだ。


「翔!!」


俺は駆け寄り、小さくなったその身体を抱き締めた。


「翔…翔!ごめん俺のせいで…俺のせいだ…」


翔「………」


「翔…ごめん…」


翔「ごめん…なさい…」


「え…?」


翔「松岡さんに…買ってもらった…大切な服なのに…ごめんなさい…」


消え入りそうな声で呟きながら翔は俺を見つめた。


「………服なんかどうだっていい。服なんかいくらでも買ってやる。お前の方が俺は大事なんだ」


翔「………大事にされる資格…ない…」


そう言って翔は意識を手放した。


「翔…!」


俺はダラリと下がった翔の手を握りながら、強く抱き締めた。


「ごめん翔…俺も愛してる。愛してるんだ…」


俺は涙を流しながら、意識の無い翔に何度も何度も伝えたのだった。
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