第8章 tragic love①
ー翔sideー
「どうやって探すの」
松岡「………伝はある。あまり大きい声じゃ言えないが」
「………」
松岡「出来る限り稼ぎの良い仕事…探してやる。仕事はキツい物に限られるけど…。だからもう売春は止めろ」
「………何で…」
松岡「ん?」
「そこまでしてくれるんだよ。見ず知らずの俺に」
松岡「………何でかな。何か…放っておけない」
松岡さんの手が伸び、俺の髪を撫でた。
ドクン、と心臓が高鳴る。
え…何今の…。
松岡「じゃあ俺帰るから。お金は払って帰るから心配すんな。これ連絡先。携帯は…持ってないよな」
「………うん…」
松岡「じゃあ…1週間後。電話してくれ。いや、困った事あったらいつでも連絡しろ。分かったか?」
「うん…」
松岡「………身体売るなよ。絶対」
「………はい…」
松岡「よし。じゃあな翔」
ぽんと頭を撫でて、彼は部屋を出て行った。
「………」
松岡…昌宏さん…。
本当に…仕事見つけてくれるんだろうか。
何で…ここまでしてくれるんだろう。
あんなに心配された事なんて無い…。
「早く…また逢いたいな…松岡さん…」
俺は布団に潜り込み、彼を思いながら枕に顔を埋めた。