第7章 君の為に出来る事
翌朝。
まだ身体は怠いけれど、大分熱の下がった俺は身支度を整え帰る準備を始めた。
松岡「本当に送らなくていいのか」
「いい。平気」
松岡「………このまま…ここに居ろよ」
昌宏さんに後ろから抱き締められる。
「………離して…」
離れようとするけれど力は昌宏さんには敵わなくて。
俺は昌宏さんが離れるまで立ち尽くしていた。
松岡「………諦めないから。俺は」
「………」
昌宏さんが離れると俺は振り返らずに、そのまま家を出た。
歩きながら、雅紀との事を考える。
正直に…話すべきか。隠すべきか。
昌宏さんの家を出る時に携帯を見ると、雅紀からの着信が5件もあった。
俺はそれに折り返す事も出来なかった。
裏切ってしまった。
雅紀の側に居る資格は…俺には無い。
でも…離れたくない。側に居たい。
どうすれば…いい。
答えが見つからず、俺はただ、街中をさ迷っていた。
ゆっくりと大通りの歩道を歩いて居ると、横断歩道の先に大きな公園が見える。
「………」
俺は立ち止まり、その場所をじっと見つめた。
雅紀の事を考えていた脳内に…沸き上がって来た…彼との記憶。
昌宏さんと…出逢った場所だ。
彼との恋は…全ては8年前、あの場所から…始まったんだ。