第7章 君の為に出来る事
ー松岡sideー
ベランダから外の景色をぼんやりと眺める。
俺の視界に入って来たのは先程まで俺の腕の中に居た翔の後ろ姿。
一度も振り返る事無く前を向いて歩いていた。
無理矢理抱いてしまった事を…後悔してる自分と満足している自分が居る。
あの身体を…俺の知らない他の男が抱いてると思うと…感情のコントロールが効かなかった。
心の何処かで…まだ翔は俺の事を愛してるんだと…自惚れていた。
何故あの時…翔の愛から逃げてしまったのだろう。
まだ10代だった翔の愛情は純粋で…真っ直ぐで。
………怖かったのか…。認めたくなかったのか…。
でも人生で…最高の一時だった翔との3年という時間を…俺は翔の背中を眺めながら思い返していた。