第5章 家族
ー雅紀sideー
心の何処かで思ってた。
この想いはもしかしたら対等では無いのかもしれないって。
俺が…翔を愛し過ぎてるんだって。
でもその想いは…翔の言葉で消え去ってしまった。
俺を愛してくれてる。だから苦しんでくれてる。
「ごめんな…翔…」
翔「謝らなくていいんだよ。俺こそごめん」
「ううん…」
お互い無言で抱き合ってると、扉の向こう側から良い匂いが漂って来た。
「やば…母ちゃん起きてる」
翔「起きよ?」
「うん」
翔「あいてて…」
起き上がりベッドに腰掛けると翔が声を上げた。
「だ、大丈夫?」
翔「まぁこれも…愛の証?でも次はお手柔らかにね」
「えーでも恥ずかしがる翔目茶苦茶エロくて興奮したのになぁ…」
翔「本当変態なんだから」
俺はさりげなく翔の腰を支えながら寝室を出た。
雅紀母「おはよう2人共」
「おはよ」
翔「おはようございます。すみませんご飯作ってもらって」
雅紀母「良いのよ早くに起きちゃったから。もう出来るから座って?」
「うん」
既に料理が並べられたテーブル。
味噌汁とネギ入りの卵焼き。ハム。
相葉家の定番の朝食だ。
「母ちゃん。食べる前に話があるんだけど」
俺達は並んでテーブルに座り、母ちゃんを呼んだ。
雅紀母「何よ朝から。食べてからじゃ駄目?」
「………それでも良いけど…出来れば今話したいから」
雅紀母「はいはい。何かしら」
手を拭きながら母ちゃんが俺達の前に腰掛ける。
「………昨日の話なんだけどさ…女の人と会うって」
雅紀母「ええ。もう決めた?」
「………今さ、付き合ってる人居るんだ。だから…断るよ」
雅紀母「そうなの。何で昨日言わなかったの?」
「いや…急で驚いたし…ちょっと言い辛かったっていうか…」
雅紀母「………」
どう切り出そうか。
必死に知恵を絞った時、テーブルの下で翔が手を握ってくる。
翔…ありがとう。
俺は息を吐き、口を開いた。
「母ちゃん。俺…この人と…翔と付き合ってるんだ」