第23章 番外編『兄ちゃんのお嫁さん』
「んぁ…ん…?」
目を覚ますと辺りはまだ暗闇に包まれてて。
真っ暗な中壁の時計を見ると…まだ3時。
兄ちゃんが帰って来た後、酔った兄ちゃんとそのまま飲んで…いつの間にか眠ったらしい。
「喉乾いた…」
水を飲もうと起き上がると…扉を隔てた向こうから何やら声がする。
扉の向こうは…2人の寝室だ!
「マジ…?」
微かに漏れる色っぽい声。
ギシギシと規則的に聞こえる音。
俺はこっそりと扉に近付き音を立てない様にゆっくりと開き、隙間から中を覗いた。
翔「あっっ、あんっっ、雅紀っっ…」
雅紀「翔っっ…愛してる…」
ベッドの上で絡み合う2人。
兄ちゃんが翔くんを大事に支えながら…腰を動かしてる。
兄ちゃんの腕の中で翔くんは…幸せそうにしていた。
雅紀「愛してるっっ…」
翔「好きっっ…雅紀っっ…あぁっっ…」
「………」
俺は…静かに扉を閉め、布団に潜り込む。
罪悪感に苛まれる。
あれはただのセックスじゃない。
愛し合う2人の交わり。
大切なその時間を見ようとした俺はバカだ。
身体中が…『愛してる』で溢れていた。
俺が見ても分かる。
兄ちゃんのキスを何度も受ける翔くんは…本当に綺麗だった。
翔くんの言葉が分かった気がする。
俺はそのまま目を閉じた。