第21章 再会。そして…
ー雅紀sideー
1年振りに感じる翔の感触。香り。
俺は離れたくなくて…ずっと腕の中に翔を収めていた。
「翔」
翔「………」
「帰ろう?俺達の家に…」
翔「………」
「………翔?」
翔「俺は…でも…」
「戻る資格がないなんて…思ってる?」
翔「………」
「翔。皆心配してるんだよ。父ちゃんも母ちゃんも…祐輔だって…ずっと。何より俺が…ずっと待ってたんだ…君を」
翔「でも俺は…俺はまた身体を売ってた!汚れたんだ!もう…もう愛される資格なんて…!」
その先を遮る様に…俺の唇に雅紀の唇が重なる。
「………俺達を守ってくれた。俺達家族の為に…。そんな翔のどこが汚れてるって言うんだよ…」
翔「雅紀…」
「絵里から聞いたよ。酷い事言われたって。知らなくて…本当にごめん」
翔「いいよ…絵里さんは間違ってない。男の俺なんかより…女性の方が良いに決まってる。俺は…雅紀に何も残せない。籍だって入れられない。子供だって…産めない。絵里さんなら…結婚して子供だって…」
「翔!」
声を荒げた俺に翔が驚いて目を見開いた。
「俺が…俺がそんな生半可な気持ちであの婚姻届を書いたって思ってる?俺は…君と将来を添い遂げたいから結婚したんだよ。子供とか…何か残せるとか…そんな事よりも俺は翔が大事なんだ!翔と一緒に歳を取りたい。翔だけでいいんだ!だから翔も…迷わないで俺と一緒に居てくれよ!」
翔「雅紀…」
「君が居ない人生は…地獄だ…」
翔「雅紀っ…雅紀ごめんなさい…」
翔が涙を流しながら俺にしがみついた。
翔「迷わない…もう迷わないから…雅紀…愛してる…!」
「愛してるよ翔」
翔「迎えに来てくれて…ありがとう…」
「守ってくれて…ありがとう」
俺達は微笑みながらゆっくりとまた唇を重ねた。