第21章 再会。そして…
松岡「私と翔は付き合ってたんですよ。別れる事にはなりましたけど…今でも大切な人です。幸せになって欲しいとずっと思ってますから。でも貴方はその幸せを壊した。その報いは…受けてもらいます」
赤岩「な…!」
松岡「今後一切…赤岩ホールディングスとの取り引きは撤退します」
赤岩「何だと…!?」
赤岩さんの顔が青ざめる。
赤岩「うちにとってお宅の会社がどれだけ重要な取引先か…あんた分かってるだろ!!私情挟むなど…どういうつもりだ!!」
松岡「私情ね…」
ゆっくりと…松岡さんが赤岩さんの前に立つ。
松岡「仕事に私情挟んだのはどこのどいつだ?翔を手に入れる為にあんたは何をした!?」
赤岩「くっ…」
松岡「それだけじゃない。赤岩ホールディングスは叩けば色々な埃が出てきそうなんですよ。だからうちの社長も今後の取り引きに乗り気ではなかった。だからいい機会です」
赤岩「……そんな…うちは…おしまいだ…」
赤岩さんは…そのまま力が抜けて屍の様に崩れ落ちた。
「松岡さん…」
松岡「翔。久し振りだな。元気だったか、って…おかしいか」
微笑みながら昌宏さんは俺の髪を撫でる。
「昌宏さん…どうして…」
松岡「仕事で一時帰国したんだよ。そしたらたまたまホテルでお前を見たんだ。見間違いかと思ったけど赤岩ホールディングスとの取り引きの時にな…こいつが『いい男娼に接待させる』なんて言うもんだから…その時思い出したよ。こいつが何者か。すぐ千葉に行って…案の定お前は居なかったから相葉さん連れて来た」
「………」
松岡「ホテルに妻を待たせてるから今夜は帰るよ。また次の機会に会おう。妻も紹介する」
そう言って松岡さんは赤岩さんの腕を掴み引き上げた。
松岡「今夜はここでゆっくりしろよ。1年振りだろ?お邪魔虫は退散する」
赤岩さんはフラフラと松岡さんに引っぱられて連れられて行く。
雅紀「松岡さん…!ありがとうございます」
雅紀が頭を下げる。
松岡「また餃子頂きに行きますよ」
雅紀「いつでも…!」
そして昌宏さんの視線が俺に移る。
「もう離れるなよ。幸せにしててくれないと俺は困る」
そう言って…部屋を出て行った。
そして広い部屋には…俺達だけが取り残された。