第19章 押し寄せる過去
気付いた頃にはとっくに日が暮れ、帰るつもりだった時間をとっくに過ぎていた。
「ん…んん…止め…」
別れ際にねっとりと濃密な口付けをされる。
嫌がる俺を赤岩さんは店の近くまで送り届けた。
「止めて…!見られたら困ります…」
赤岩「いいだろ。どうせもう俺の元に戻って来るのだからな」
「お願いですそれは…」
赤岩「………潰れてもいいのか?」
「………」
赤岩「ふふっ。もうお前は俺の物なんだ」
「………いやだ…もうあの頃には戻りたくない…」
赤岩「お前を見初めたのは私だ。それにナンバーワンにしてやったのは私だろ。何度もお店に通いつめて…他の常連とのパイプ役になったのも私だ。お金が欲しかったんだろ?」
「ナンバーワンにしろとは頼んでない!それに俺は貴方の事なんて…」
最後まで言わずに赤岩さんの平手が頬に飛んだ。
赤岩「口答えするなと言っただろう。私に逆らうとどうなるか分かってるのか」
「いっ、たい…!」
後ろ髪を掴まれ強く引っ張られる。
赤岩「言う通りにしろ」
「痛い…止めて…」
赤岩「お前は俺の物だ」
耳元で何度もその言葉を聞かされながら…俺逃げる様に彼の元を離れたのだった。