第19章 押し寄せる過去
ー翔sideー
雅紀「絵里は…明るくてクラスの人気者で…そんな絵里の事好きだった」
隣で肘を付いて話す雅紀を俺は黙って見つめながら聞いていた。
雅紀「でもさ…凄く上昇思考が強くて。何でも1番じゃないと気が済まない子でさ。それと…都会への憧れが人一倍強くて。昔から言ってた。『東京に行きたい』って」
「そう、なんだ…」
雅紀「絵里は東京の大学に行ったけど俺はこっちの大学に行ったからそれから遠距離でさ。最初はよく帰って来てたけど…次第にその回数も減っていってさ…」
「うん…」
雅紀「………留学生のアメリカ人とくっついて卒業と同時に向こうに行った。離婚したってのはその男だろきっと」
「そう、なんだ…」
雅紀「無駄な時間過ごしたよ本当に…怒りを通り越して呆れたよ。そんなに都会に染まりたいのかってね。でもま…俺は今幸せだから…あいつがどうなろうと知ったこっちゃない」
「雅紀…」
雅紀「だから…翔は堂々と俺の隣に居て。絵里は…友達だと思ってるけど…そういう意味で魅力はもう全く無いから」
「うん…」
雅紀「俺は翔にゾッコンなんだから…初めて逢ったその日からね」
ゆっくりと雅紀の唇が降りてくる。
「んん…ふ…」
雅紀の首に腕を回すと…ゆっくりと口付けが深くなっていった。