第18章 ハッピーエンドのその後に
ー雅紀sideー
店を閉め、店の休憩時間に入って間もなく、卸業者の人が入って来る。
男「お世話になりまーす」
翔「はーい。お世話になります」
スッと翔が椅子から立ち上がり、駆け寄って行く。
伝票を受け取り、業者の人と話しながらチェックをしていく。
本当、よく出来たお嫁さん…。
ぼんやりとその姿に見とれながらお茶を飲んでいた。
しかし気に入らないのは…業者の男も…目尻を下げながら翔と会話をしている。
さすが元ナンバー1の男娼なだけある…。
翔「ん?牛肉が多いですね…。伝票は間違ってないけど…」
男「あ、それサービスっす」
翔「え?」
男「良かったらどうぞ。あ、これも…うちの新商品のスイーツなんすけどよかったら」
翔「え」
段ボール箱を翔に渡す。
翔「こんなに?大丈夫ですか?」
段ボールをテーブルに置きながら翔が心配そうに見つめる。
男「だ、大丈夫っす!ファンですから!」
翔「ファン…」
男「あ、では失礼します!お疲れ様でした!」
翔がサインした伝票を受け取り翔の手を握った。
「!!!」
雅紀父「雅紀落ち着け」
ポツリと隣で父ちゃんが呟いた。
翔「お疲れ様でした。気を付けて」
男「はい!」
そのまま慌ただしく男は出て行く。
翔「………」
祐輔「翔兄ちゃんどうしたの?」
翔「いや…じゃあ片付けて来ます」
ポケットに何かを入れながら急いで厨房に入る翔。
「………手伝って来る」
俺は立ち上がり、翔の後を追い掛けた。