第18章 ハッピーエンドのその後に
【2ヶ月前】
「いらっしゃいませ。あ、こんにちはーお疲れ様です」
客1「翔くんお疲れー。相変わらず美人だなぁ」
「あはは。ありがとうございます。どうぞ」
時計が丁度正午を指した頃、お店常連さん達で溢れ返る。
他愛ない会話をしながら接客をこなし、忙しい時間をお義母さんとパートさんとこなしていく。
雅紀「翔。2番テーブルの餃子上がったよ」
「はい。炒飯は?」
雅紀「後1分」
「分かった」
餃子をトレーに乗せて2番テーブルへと向かう。
「餃子お待ちどう様です。炒飯ももう来ますよ」
客「ありがとう。やっぱり翔くんの接客だと疲れも取れるな」
雅紀母「まぁ。私じゃ役不足?」
テーブルを片付けていたお義母さんがこちらを見つめる。
客「ごめん女将さん。そういう意味じゃないんだよー。ただ翔くんが俺の好みだからさー」
雅紀母「全く…うちのお嫁さんナンパしちゃ駄目ですよ」
客「話す位良いよねぇ?」
「俺はいいんですけどね…今忙しいから」
笑顔で交わして離れようとするけど手を握られる。
また始まった…。
このお客さん…いい人なんだけどね…。
スキンシップが…。
客「何もしないからさ。今度食事だけでも!絶対何もしない!お願い!」
「駄目ですよ」
客「お願い!1回だけ!」
「もー…しつこいですよ」
客「食事してくれたらもう二度と誘わないから!」
「………」
俺が何かを言いかけたその時
雅紀「はい!炒飯お待ち!」
ドン!とテーブルに炒飯が置かれる。
雅紀「お待たせしてすみませんね!どうぞごゆっくり!」
客「ま、雅紀くん…」
満面の笑顔の雅紀。
それが余計に恐ろしく感じた。
雅紀「いい加減にうちの奥さんナンパするの止めてもらえます?」
客「いや…その…一度だけなら…」
雅紀「駄目だって言ってるでしょ?もし今度誘ったら…翔を二度とお客さんのテーブル接客させませんよ?それでもいいですか?」
客「………もう言いません…」
雅紀「よろしく♪」
そして雅紀は厨房へと戻って行った。