第16章 Forever Love
「あの…貴方は…」
男「申し遅れました。私死神と申します」
「は…?」
差し出された名刺を受け取り、ぽかんとする。
そこには『死神413号』と書かれていた。
「え…知ってるのと全然違う…」
死神「よく言われます。しかし貴方方人間がご存知の死神は空想の世界の死神ですから」
「はぁ…」
イマイチ…信じられない。
でも…おれのこの情況考えると…信じずにはいられない。
「やっぱり…俺死んだんですか」
死神「いえ。正確にはまだ亡くなってはおりません。相葉様のお身体は生きておられます」
「じゃあ…何で…」
死神「数時間以内に…貴方は死ぬ」
「………」
死神「申し訳ありません。本来なら数日前にはここに来る予定だったんですけれども…何分仕事の方が立て込んでおりまして。ギリギリでこんな時間に」
「そう…なんですか…」
死神「全く…あの監視官…すぐぼこぼこ殴りやがって…。痛いから…」
「はい?」
死神「あ、いえ。失礼しました。相葉様、最後にやり残した事はありますか?」
ブツブツ言ったりにこにこしたり…変な奴だな…。
「やり残した事?」
死神「もしあればお手伝いさせて頂きます」
「………そうだな…」
腕組みをしながら考える。
「この人の側に居たい。それだけです」
そう言いながら俺は翔の横顔を見つめる。
死神「彼ですか」
「ええ。最期の時までこの人の側に居たい」
死神「………」
「………ごめんね翔。先に逝っちゃって」
手を伸ばし…翔の頬に触れようとした。
でもその手は…翔の身体を突き抜ける。
「でも…君を守れた事は…俺の誇りだ。無事で良かった…本当に」
横たわる俺の手をずっと握り続ける翔を俺は隣で見つめながら涙を流した。
「愛してるよ。ずっと…見守ってるからね」
死神「………」
俺は…自分が息絶えるその瞬間まで翔の側に居よう。そう決めたんだ。