第15章 対峙
ー翔sideー
「う…」
頭が痛い。ズキズキする。
何処かで携帯が鳴ってる。
ゆっくり目を覚ますと…リビングの床に投げ捨てられる様に横たえられていた。
「おい起きろよ早く」
声のした方を向くと…あいつがテーブルに腰掛け俺を見下ろしていた。
翔父「頭殴った位で気絶しやがって」
「げほっ…!」
いきなりお腹に足を乗せられる。
「止め…ろ…」
翔父「止めるかよ。どんだけ探したと思ってんだお前達を。千葉なんかにいやがって」
起き上がろうとするけど…腕を後ろ手に縛られそれも出来ない。
翔父「お前にはさ…沢山借りがあるからな。お前のお陰で…たっぷりと獄中生活味会わせてもらったから」
「………」
翔父「安心しろ。舞はちゃんと俺が面倒見てやる。お前が死んだ後もな…たっぷりと。くくっ」
笑いながら…右手に持った包丁をちらつかせた。
「っっ…な…何を…」
翔父「………なぶり殺しにしてやる。お前が…俺の人生台無しにしたんだ。謝っても無駄だぞ」
「………謝る事なんて何もない。人生狂わされたのは…俺だって同じなんだよ!俺も母さんも…舞も!お前のせいで!」
翔父「うるせぇ黙れ!!」
「いっ…!」
あいつが包丁を振り回し、肩や頬に切り傷が走る。
翔父「黙って殺されてろお前は…」
「………頼むから…舞には…舞には手を出すなよ…せめて舞には全うな人生を…」
俺は…せめてもの願いを込めて懇願した。
翔父「………幸せにしてやるよ。俺と一緒にな。まだバージンかあいつ?俺が…教えてやるよたっぷり。それで…稼いでもらうよ」
「止めろ…止めろよ!舞はあんたの血の繋がった娘だろ!俺は…俺はどうなってもいいから!舞だけは止めろ!お願…あぅっ…!!」
右足に激痛が走る。
「ふっ…ぐ…」
見ると…包丁が右足に深く…刺さっていた。
翔父「うるせえよお前は…。天国で嘆いてろ。妹助けられなかった非力な自分をな」
「あっ、ぐ!!」
思いきり包丁を抜かれ、傷口からおびただしい血が流れる。
あいつはそのまま俺に馬乗りになり…両手で包丁を振り上げた。
「………まさ、き…ま…い…」
俺…もう…死ぬのかな…。
2人共…ごめんね…。
俺は…静かに目を閉じた。