第15章 対峙
ー雅紀sideー
「じゃあ行ってらっしゃい」
舞「ありがとまー君。行って来ます」
手を振りながら舞ちゃんを見送る。
その姿が見えなくなった後、俺は車に乗り込み店に向かった。
運転しながらあいつの事を考える。
これで終わりにしろって言ったけど…無理だよな…。
また来るに決まってる。
小さな舞ちゃんも手に出そうとしたクズだ。
今だって…舞ちゃんに会ったら狙われるに決まってる。
翔だって…男娼やってたなんて知ったら…また稼がせる。
考えれば考えるだけ…心配になる。
………家に居るからって安全だとは限らない。もし…場所がバレたら…。
店に居て…俺の目に届く場所に居てもらった方が安全なんじゃないか?
舞ちゃんも…今は学校休んだ方がいいのかもしれない。
不安が込み上げる。
俺は路肩に車を停め、翔に電話を掛けた。
「………」
呼び出し音が続く。
「………出ない…」
何度掛けても…翔が応答する事は無い。
「まさか…。まさか…だよな」
助手席に携帯を投げ捨て、車を発進する。
「頼む…思い違いであって…!」
翔の無事を祈りながら、俺はマンションへと車を走らせた。