第14章 15年前の真実
父さんが…薬をやっている。
それは俺には耐え難い事実で。
でも…あの頃の俺はまだ子供で。
言えば…止めてくれるんだと。
俺じゃなく…舞の為になら止めてくれるんだと思っていた。
翔父「………何だと?」
「だから…薬…止めて欲しい…」
あの日から数週間振りに帰宅した父さんに…俺は勇気を出して話した。
翔父「何言ってんだお前」
「………この間…話してるの見たよ。その…純度の高いコカイン…とかって…。コカインってその…麻薬…だよね…」
翔父「………だから何だよ」
「父さん…止めて。麻薬って犯罪だよね…。父さんにそんな事…して欲しくない。舞の為に…止めてよ」
すると…椅子に座っていた父さんはゆっくりと立ち上がり…俺の前に立った。
殴られる…。
そう思った瞬間、思いきり髪の毛を掴まれた。
「あ、うっっ!」
翔父「いちいちうるせぇんだよお前は。黙って身体売ってろ」
「い、たい…止めて…」
ギリギリと髪の毛を引っ張られる。
翔父「………分かってんだろうな。警察に言ったら。お前…殺すぞ?」
耳元で…低い声で囁かれる。
翔父「………分かったか」
「………」
翔父「………返事」
「は…はい…」
翔父「………よし」
ようやく髪の毛から手が離れ、俺は床に崩れ落ちた。
ガクガクと身体が震える。
翔父「………明日も予約入ってっから。家に居ろよ」
そして父さんはまた…家を出て行った。
怖い…怖い…。
どうしたら…どうすればいい…?
俺は頼る相手も無いままただ独り…リビングで涙が枯れるまで泣いていた。