第14章 15年前の真実
「ありがとうございました」
店を出るお客さんに声を掛ける。
午後2時。
朝から夕方までの長い勤務時間。
店内に人が居ないのを確認した後、俺は伸びをした。
同僚「櫻井くん疲れた?」
「あ、すみません…」
同僚「大丈夫。そろそろ休憩にする?」
「ありがとうございます」
俺はパンとジュースを持って店の裏で座り込んで一休みした。
そう言えば…父さんの顔…どれだけ見てないだろう。
業務連絡の様な…売春の仕事の電話だけ。
「自分の子供は舞だけだって言ったのは…どこのどいつだよ…」
呟きながら…パンを頬張った。
「あれ…君…翔くん?」
顔を上げると…見覚えのある顔…。
「あ…!」
この間…俺を買った客…!
男「へぇ…ここで働いてるんだ」
「あの…俺もう行かなきゃ…」
慌てて立ち上がると、腕を掴まれる。
「離して下さい…!」
男「ちょっとだけ。いいだろ?君の事忘れられなくてさ…頼むよ」
耳元で囁きながら…股間を押し付けてくる。
男「逃げたら店長に伝えるよ?こいつは売春してるって。それに…まだ中学生だろ?バイトなんてしていいの?歳誤魔化してる?」
「………」
男「お父さんには黙っとくから。ほら2万でいいんだろ?」
財布からお金を取り出し、俺のポケットに忍ばせる。
「ちょ、待って…!」
男「ほらお尻向けて」
「や、あ、あっっ…!」
「すみません遅くなりました」
同僚「大丈夫?何かあった?」
「いえ…大丈夫です…」
乱れた制服を押さえながら俺はレジに入る。
………腰と…お尻が痛い。
………泣きたい…。
俺は拳を握り締めながら痛みと屈辱に耐えたのだった。