第11章 別離
ー雅紀sideー
久し振りに見る翔の顔は…少し疲れてる様だった。
それでもやっぱり美人だなと思う。
「人の家に泊まってる」
それを聞いた時から…相手は松岡さんなんだと分かっていた。
でも本人から聞くと…ショックで。
それが翔の答えなんだと…受け入れるしかない。
でも俺は…最後に翔に自分の気持ちを伝えたい。
俺は準備した物を鞄から取り出し、テーブルな上に置いた。
翔「これ…婚姻届?雅紀…どういう事?」
「………前に…プロポーズしたよね。お嫁さんになってって」
翔「………だけど…俺は男で…。ここ日本だよ?こんなの…認められない…」
「別に提出する必要ない。永遠の愛の印として…書いて欲しいんだ。俺の欄は書いてあるから」
翔「雅紀…」
涙を浮かべた翔が俺を見つめる。
「それと…俺会社辞めた。」
翔「え…」
「千葉に帰るよ」
翔「雅紀…」
「翔。一緒に来て欲しいんだ。舞ちゃんと一緒に」
翔「え…」
「この間舞ちゃんに話したんだ。実家から少し離れてるけど…大きな病院があってそこで治療が受けられる。一緒に頑張ろうって。そしたら行っても良いって…言ってくれた。勝手にそんな事して…ごめん」
翔「………」
「翔…愛してる。沢山考えた。君との事。君と松岡さんの事。今松岡さんと一緒に居るって聞いても…俺の気持ちは伝えたい」
翔「………」
「俺は…俺の描く未来は…翔無しでは考えられないんだ。離れてみてそれが分かった。松岡さんと過ごした時間には及ばないけど…それでも俺は君を愛してる。他の誰にも渡したくない」
翔「昌宏さんと…寝たのに?」
「そんな事どうでもいい位…翔の事愛しちゃってんだ俺」
翔「雅紀…」
「松岡さんを選ぶんだったら…幸せになって欲しい。松岡さんだったら…きっと君を幸せに出来る。2人の幸せを願いながら俺は生きてくよ。でももし…俺を選んでくれたら…もう離さない。揺るがない。君を幸せにする。一生掛けて君と舞ちゃんを守るから。だから…結婚して下さい…」
俺は…翔に頭を下げた。