第11章 別離
ー翔sideー
雅紀から…プロポーズされた。
目の前には婚姻届と…頭を下げる雅紀。
「顔…上げて雅紀…」
ゆっくりと…雅紀が顔を上げる。
「………いつ…ここ出るの?」
雅紀「………来月」
「来月?」
雅紀「うん…1日に千葉に帰る」
昌宏さんと…同じ日…。
雅紀「これ…特急の指定席。翔と舞ちゃんの分」
「………」
夕方の便…。
シカゴ行きの飛行機と時間もあまり変わらない。
雅紀「俺待ってるから。もし…俺を選んでくれるなら…来て欲しい。ホームで待ってるよ」
そして雅紀は…立ち上がる。
雅紀「この部屋…来週には引き払うから。翔の分だけでも片付けておいてもらっていいかな」
「分かった」
雅紀「ありがとう。じゃあね」
そして雅紀はそのまま部屋を出て行った。
俺の物なんて…殆どない。
服が少しある位で…。
テーブルの上に残されたチケットと…婚姻届を見つめる。
「………」
答えは決まっていたのに…。
涙が溢れそうになる。
2人共愛してる…。
俺の大事な人。
別れたくは無い。
でも…決める時が来たんだ。
迷っちゃいけない。
俺は…彼が居ないと生きていけない。
俺は…特急のチケットと婚姻届を握り締めて家を出た。