第11章 別離
ー翔sideー
「………シカゴ…?シカゴって…アメリカの?」
松岡「あぁ。俺が前から希望していた支社の支社長に正式に決まったんだ」
「………いつから?」
松岡「来月」
「………来月…」
昌宏さんが帰って来るなり聞かされたシカゴへの転勤。
昌宏さんが…居なくなる…。
俺は言葉を失った。
松岡「翔」
「………ん?」
松岡「………俺と一緒に…行かないか?」
「………え…」
松岡「舞ちゃんも一緒に」
「え、何…」
松岡「調べたら…会社の近くに移植専門の大きい病院があるんだ。日本語が話せるスタッフもいる。今よりいい治療が出来るかもしれないんだ」
「………」
松岡「………俺が面倒を見る。お前も…舞ちゃんも」
そして松岡さんは…鞄から白い封筒を出して俺に渡した。
「………これ…」
松岡「飛行機のチケット。お前と舞ちゃんの分だ」
「………昌宏さん…」
松岡「翔。愛してる。これからずっと…俺の側に居て欲しい」
「………昌宏さん…」
松岡「………考えてくれ。待ってるから」
「………うん…」
俺はチケットを握り締め…大きく頷いた。
松岡「おいで…翔」
昌宏さんが手を伸ばし、俺を抱き寄せた。
松岡「今週中に離婚も成立すると思う。だから…もう堂々とお前と一緒に居られる」
「………」
松岡「相葉さんの事は…忘れてくれ」
「………」
そしてそのままそっと、昌宏さんの唇が降りてくる。
俺は…静かに目を閉じた。