第11章 別離
ー翔sideー
仕事を終えた俺は着替えを済ませて携帯を取り出し電話を掛けた。
仕事中かなと思ったけれど、思いの外相手は直ぐに応答してくれた。
「もしもし…昌宏さん?」
昌宏『翔か?』
「………うん。ごめんね急に」
昌宏『いや大丈夫。どうした』
「………逢いたい」
昌宏『………』
「逢って…話がしたい。昌宏さん…今日泊めて?」
昌宏『………分かった。迎えに行く。今店か?』
「うん」
昌宏『30分で着くから。待ってろ』
「分かった」
電話を切った後、俺は荷物を抱えて控え室を出た。
すると控え室に戻るにのと鉢合わせた。
カズ「お疲れ様です」
「お疲れ様」
カズ「………松岡さんとこ?」
「………うん」
カズ「そっか。変な言い方だけど…頑張って下さい」
「ありがと。ねぇにの」
カズ「ん?」
俺はそのまま正面からにのに抱き着き、ちゅっとキスをした。
カズ「こーら」
「ふふっ。大好きだよにの」
カズ「全く人の気も知らないで…襲うよ?」
「ごめんね?」
カズ「小悪魔め」
「へへっ。じゃあね、お疲れ様」
カズ「お疲れ様」
にのに手を振りながら俺は店を後にした。