第11章 別離
「ごめんなさい…ごめんなさい…!」
ボロボロとこぼれ落ちる涙。
今泣くのは卑怯だって分かってる。
でも嫌だ。雅紀と別れるなんて…。
雅紀「翔…」
「殴って…俺を殴って…。好きなだけ殴っていいから…!だから…お願い行かないで…!」
雅紀「………」
俺はありったけの力で…雅紀にしがみついた。
雅紀「翔…そんな事しない」
雅紀は俺の腕を掴み、ゆっくりと離した。
「お願い…雅紀…」
雅紀「今君の側に居ても…このままじゃ自信が無いんだ。君を…愛する自信が…」
「自信なんていらない…いらないよ…」
雅紀「きっと…俺の気持ちの問題でもあるんだ。だから…離れて考えさせて」
「………やだ…離れるなんて嫌だ…」
雅紀「翔も…考えて。松岡さんと何で寝たのか…。そんなに俺にすがってるのに…何で松岡さんに抱かれたのか…」
「………」
雅紀「考えよう…今のままじゃ…俺達はきっと別れる」
そしてゆっくりと、雅紀は俺から離れた。
「何処に…行くの?」
雅紀「………言えない」
「雅紀…」
雅紀「ごめんな…へたれで…」
俺は何度も首を振った。
「待ってる…待ってるから…」
雅紀「………またね」
そして雅紀は…俺達の愛の巣を後にした。
「っっ、雅紀っっ…!」
誰も居ないその部屋で…俺は雅紀を呼びながら泣き崩れた。