第9章 tragic love②
ー翔sideー
情事の後、昌宏さんは直ぐにベッドを降り、着替えを始めた。
「昌宏さん…?」
いつも俺を抱いた後は抱き締めて…そのまま朝まで寝るのに…。
今日の昌宏さんはいつもと違った。
何か…怖い。
俺もここにいちゃいけない気がして…起き上がり服を着替えた。
俺に背中を向け、思い詰めた表情で天井を見つめる昌宏さん。
すると…ゆっくりと息を吐き、昌宏さんは俺の方を見つめた。
松岡「………翔…」
「………どうしたの?」
松岡「………ごめん…」
「………昌宏さん…逢ってからずっとそればっか…」
俺はその言葉を笑って誤魔化した。
松岡「………本当に…ごめん」
「………昌宏さん?」
松岡「………俺達…もう終わりにしよう」
「………え?」
………言ってる意味が…分からない。
「………何?意味が…分からない」
松岡「別れたいんだ」
「………」
松岡「もう逢うのは…これが最後にしたい」
「待って…昌宏さん待って…」
俺は昌宏さんの腕を掴んだ。
「何で…何で急に…意味が…分からないよ」
松岡「………」
「ホストの仕事始めたから?反対しても続けたから?」
松岡「………それだけじゃない」
「昌宏さん…!」
どうして…どうして…。
嫌だ。
そんな事考えた事無い。考えたくない。
昌宏さんと別れるなんて…やだ…。
「悪いとこあったら直すから…昌宏さん…!急にそんな事言わないで…!」
必死にしがみつく俺の腕を…昌宏さんは優しく掴み、離した。
松岡「………結婚するんだ」
「………え?」
松岡「ごめん…。お前とはもう一緒にいられない」
「………嘘…だよね…」
松岡「子供も産まれる…だから…ごめん」
「………」
一瞬で…俺の視界が真っ暗になった。