第12章 未来からの落とし物/徳川家康
「ワサビ……何を咥えてるの?」
庭で遊んでいたワサビが何かを咥えて俺の所にやってきた。
また、変な物でも持ってきたんだ。
こいつは時々、変な物を自慢気に持ってくる。俺に誉めてもらいたいのは分かるけど、正直困る。
木の根っこや、そのへんに転がっている石。
この前は三成のふんどしを持ってきたっけ
(すぐに燃やしてやったけど)
ワサビは咥えたまま、俺の顔をじーっと見つめてきている。
わかってるよ。頭を撫でて「良い子だね」そう言ってもらいたいんだろ。
「おいで、ワサビ」
手招きをすると素直に俺の手に頭をすり寄せてくる。
ワサビが満足するまで撫でてあげると咥えた物を俺に渡してくれた。
「……これ、なに?」
見たこともない形
手触りは……柔らかい?
若干、硬いかな?
「……これって……もしかしたら?」
俺は使った事がないけど想像はつくような気がする。
「……まあ、俺には不要な物だけど」
あとで山に薬草を摘みに行く時にでも棄てる事にするか。
そう思って俺はワサビが拾ってきた物を懐にしまったんだ。