第10章 桜の木の下には……/上杉謙信
桜の木の下には大切な物が埋まっていると凛が言っていた
「凛……此処にいるのだろ?
俺に姿を見せろ」
「謙信様は何をしてるんだ?」
「凛さんを捜しているんだよ」
「凛? だって凛は……」
「そうだよ、幸村。凛さんが亡くなって1年になる」
凛は死んでなんかいない
この桜の木の下で眠っているだけだ
俺が掘り起こしてやれば凛は目覚める筈だ。
“私を見つけて……”
風に乗り凛の声が聞こえてくる
「はやく姿を見せろ」
“此処にいるよ”
桜の木の下には掘り起こした人の大切な者が埋まっている
「逢いたかったぞ……凛」
*Fin*