第7章 糸電話/猿飛佐助
俺にはいつでも、どこにいても見守りたい大切な女性がいる。
彼女の名前は凛さん。
俺と一緒にこの戦国時代にタイムスリップをしてきた仲間のような人。
いや、ちょっと違うな
凛さんは俺の事をそう思っているかも知れないが、俺は違う。
俺は凛さんの事を仲間だなんて思っていない。
1人の女性として意識してしまっている。
この想いに名前をつけるとしたら「恋」
この恋を成就するのには幾つもの高い壁がある。
まず俺と凛さんは敵同士という立ち位置が出来上がっている。
俺と凛さんは同時に平成から戦国時代にタイムスリップしたはずだが、時空の乱れによって時間差と着地点に何らかのズレが生じてしまったらしい。
俺は死にそうな謙信様を救い謙信様側
凛さんは信長を救い信長側に
まるでロミオとジュリエットのようだが、1つだけ違う事がある。
そう、凛さんの気持ち
彼女は俺じゃない他の男に恋心を抱いているようだ
(屋根裏からひっそりと見守っていたから間違いない)
俺は凛さんが笑って暮らせるならそれで良しとしている。
が、どうしても俺の想いを伝えてしまわなければならない状況になってしまった。
すまない、凛さん
俺の我が儘を許してほしい