第28章 うたかたの夢/上杉謙信
今でも俺の腕の中で冷たくなっていくお前の事を忘れる事が出来ない。
凛__
お前の望みを叶えた事を悔やむ気持ちなどない。
凛の幸せを思ったからこそ、俺はこの手で終わりにした。
その業を背負って生きていく道を選んだ。
後悔など微塵もない。
ただ__
「凛……お前のいない世がこんなにもつまらないとは思っていなかったぞ」
空を仰げば慈愛に満ちた凛の笑顔が浮かび上がる。
手を伸ばしても触れる事は叶わない。
「この手で凛を……」
もう1度だけ抱きしめたい___
叶わぬとわかっていても願ってしまう。
なら、せめて
「夢の中で逢いに来るがよい」
凛
俺を満たしてくれ。