第26章 ホタル
今まで視線が合っていたのにフイッと視線を外してしまう光秀さんの耳が……あかい?
「光秀さん?」
光秀さんの顔を覗き込むと、さっきよりも熱を帯びた瞳に私が映っている。
「光秀さん……ちゃんと言ってほしいんですけど」
「察しろと言ったはずだ。その小さな脳みそで考えろ」
言葉はいつものように冷たくてバカにするような言い方だけど、熱を帯びた瞳はちゃんと好きって言ってくれてる。
光秀さんって……
「照れ屋さん?」
「さぁな?」
いつものような小馬鹿にするような笑みを浮かべてるけど、私にはわかっちゃった。
「うふっ」
「なんだ?その笑いは?」
「光秀さんって素直じゃないんですね」
「凛の前ではこれ以上にないくらいに素直だぞ」
「もっと素直になってもいいですよ」
「そのうち……な?」
(本当に蛍みたいな女だ。素直になれない俺に優しい光りを照らしてくれる。これからも俺を照らしてくれ)
*光秀Fin