第26章 ホタル
「凛!出掛けるぞ!!」
「政宗?……いきなりどうしたのよ?」
夜も更けてそろそろ寝ようかなっと思っていたところに断りもなく襖を開け放ち、ずかすかと部屋に入ってくる政宗。
「いいものを見せてやるよ」
「いいもの?」
「ああ」
嬉しそうにニヤリと笑う政宗は何かを企んでいる時の笑顔だ。
「お前を喜ばせてやる」
「本当に?」
「ああ、俺に黙ってついてこいよ……その前に」
「うん?」
すっと凛の背後に回わりこみ、布で素早く目隠しをする政宗。
「政宗……?なんで目隠しを?」
「取るなよ」
「取るなって……これじゃ何も見えないよ」
「俺が良いっていうまでそのままでいろよ」
「……うん……うわっ!」
急に体が浮いて咄嗟にしがみつく。
「着物じゃなくて俺の首に腕をまわせよ」
「ん……」
政宗ったら何処に行くつもりなんだろう?
不思議に思いながらも政宗の逞しい体に身を委ねる凛であった。