第18章 鬼はどっち?/豊臣秀吉
ここは安土城にある地下牢
私の目の前には氷のように冷たい視線で見据えてくる男が立っている。
男は豊臣秀吉と名乗った。
「お前の本当の目的はなんだ?」
「……」
「何故、信長様に近づいた?」
矢継ぎ早やに詰問してくる男に私は何度も同じ言葉を返していた。
「目的なんてない」
「偶然その場に居合わせていただけ」
「嘘をつくな。偶然にしてな出来すぎだ」
いくら本当の事を言ってもこの男____
豊臣秀吉はわかってくれない。
いくさで両親も住む所も失った私は、あてもなく彷徨っていて一晩の寝床にと本能寺にいただけ。
たまたまいた本能寺で命を狙われていた信長様を助けて、そのまま何故か安土城に連れて来られてしまった。
ただ、それだけなのに……
どうして私は罪人のように縄で縛られて詰問をされているの?
「女……早く本当の事を言え」
「だからっ……さっきから何度も……っ……!!」
顎を持ち上げられ、豊臣秀吉と視線が交じりあう。
氷のように冷たい瞳が私を射抜いていく。
「躰に直接聞くしかないようだな」
「やだ……やめてよ」
トンっと軽く肩を押されただけなのに、私の躰は傾き後ろに倒れてしまう。
足の先から体温が下がっていくのがわかる。
怖い……
この人は私に何をするつもり?
耐えようもない痛み?
それとも舌を噛みきってしまいたくなるような陵辱?
「……私は……私は何も知らない」
「信長様に仇を成すつもりがないならその躰で示せよ」
「そんなの無理に決まってるでしょう?!……っ!!」
叫ぶ私の口をその大きな手が塞ぎ、胸の合わせが大きく開かれた。