• テキストサイズ

(HQ) プラトニック・ラブ ─再会─

第1章  再会、そして



「ホント、昔っから何も変わんねえな」

 言いながらグラスに口をつける黒尾は、心なしか寂しげだった。

 喧々囂々と舌戦を繰りひろげる赤葦とかおりに、妙な郷愁を感じたのだ。この感じ、懐かしい。まるであの頃に戻ったようだと。


「黒尾くんってばノスタルジックゥ~」


 茶化してみせる木葉もまた、心中では黒尾と同じことを考えている。

 楽しいだけでは済まされない今。
 ストレス社会。毎日必死な自分。

 良くも悪くも大人になってしまった彼らにとって、学生時代を彷彿とさせる犬猿のふたりの存在は、最高の【酒の肴】なのだ。


「……歳とったねェ、俺たち」

「なんだかんだ言ってあの頃が一番楽しかったよな」

「ああ、わかる、超同感」


 戻りてえな。
 ガキの頃に。

 すっかりオッサン同士の会話である。

/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp