第1章 再会、そして
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「大体ねえ、俺はいまだに納得いってないんスよ……!」
酒で満たされたグラス片手に、赤葦京治がくだを巻いていた。
もう何杯目だろうか。
茹でタコよろしく肌を紅潮させた彼は、周囲の制止も聞かずに勢いよくアルコールを流しこむ。
「やだ、またその話?」
「言わせてやれって。赤葦もなにかと苦労してんだよ」
酩酊寸前の赤葦に顔をしかめるのは木兎かおりで、その隣では木葉秋紀がほんのりと染まった頬で笑っている。
「まあ、たしかに、木兎のことを一番分かってやれんのはお前だよなァ」
かおりの右斜め前。
赤葦の傍らで頬杖をついて、黒尾鉄朗が言った。
そんな彼の【同意】にガバッ、と顔をあげるのはもちろん赤葦だ。
「でしょう!? あの人を誰よりも理解してるのは俺です。俺なんです。なのに、なのに……!」
キ、と睨みつけた先。
赤葦が握りつぶさん勢いで手にするスマートフォンには、男子バレー日本代表の写真が映しだされていた。
「なんで及川なんスか!!」
納得いかない!許せない!
赤葦京治(27)
公務員・独身
彼は現在、絶賛激おこなうである。