第3章 おわりの、はじまり。
かなわない気持ちを抱えたまま、僕は先輩のことを見ていた。
おそ松兄さんに可愛く微笑むのも、
他の兄弟と楽しそうに屈託なく話す姿も、
見ているとイライラした。
僕と一緒にいる時はすぐ俯いたり、少し離れて話したり、なんなら目も合わせてくれなくなって。
前とは明らかに変わってしまった態度に傷ついたりもした。
.....きっと僕の噂が耳に入ったんだと思う。
先輩は優しいから無視したりは出来ないけど、きっと僕のこと軽蔑してるんだと思った。
噂っていうのは、僕が色んな女の人と遊んでて、前の会社では女の人を妊娠させておろさせたていう話。
トド松が「コミュ障の兄さんが女遊びしてるとかウケる!」って爆笑しながら噂があることを教えてくれた。
あと、多分この間兄さんが振ったプライド高そうな女の人が言いふらしてたよとも。
.....僕、告白された話なんてトド松に言ってなかったと思うんだけど。こわ。
まぁ、わざわざ否定するのもめんどくさいし、噂が流れてるのは知ってはいたけど放置してた。まさかそれが先輩との関係に影響してくるなんて思ってなかったしね。
.....先輩なら、そんな噂も気にせずにいてくれるんじゃないかって思い上がってたところもあったのかな。
勝手に期待して、勝手に傷ついて。
...あの日は、そんなイライラが溢れ出したんだと思う。
先輩との関係が始まった、あの日。
今思えば、状況も悪かったんだよね。
好きな人と同じ部屋で朝まで2人きり、なんて。