第12章 女の子は甘いものがお好き(十四松)
十四松「ただいま―――ッスル!!!!」
何時ものように扉を開け、入る。
いつもはトド松かカラ松兄さん辺りが迎えてくれるんだけど今日は一松兄さんが迎えてくれた
____ような。
十四松「一松兄さん!ただい…」
一松「十四松、一旦表へ出ろ。」
一松兄さんは親指を真横にさして僕を外に連れ出した。
一松兄さんの親指が、今にも下に行きそうで、少し怖かった。
十四松「どうしたの?一松兄さん」
一松「どうしたもこうしたもねぇよッッ!!」
………!?
一松兄さんが……
僕に怒ってる……?
十四松「………え?」
一松兄さんがカラ松兄さんでさえ見たことのない目付きで睨んできた。
一松「テメェ、○○と二人で出掛けたよな。人の彼女に手ェ出したよな!?」
一松兄さんが僕の胸ぐらをつかむ。
痛い。
……そうか。
一松兄さん、嫉妬しているんだ。
普段何事にも真剣にならなかった兄さんが。
嫉妬してる。
そんなに好きだったんだね、○○ちゃんのこと。
だから無理矢理な形でも手に入れたかったんだ。
恋人と言う器の中に、○○ちゃんを埋め込んで。
ただ、
十四松「○○ちゃんは一松兄さんだけのモノじゃないよ?」
僕は僕の胸ぐらをつかんだ右腕をつかみ、握り潰す。
一松「ッテ…!」
僕は一松兄さんより体力はあるからこのくらいは朝飯前。
十四松「○○を無理やり自分のモノにして、それはただの自己満足じゃない?○○ちゃんの気持ちを考えず自己を押し付けるのはどうかと思うよ。」
一松兄さんは目を見開き、僕を見つめる。
その目から少しずつ涙が溢れてきた。