第10章 いつになったら気づいてくれる?(一松)
【○○】
「一松君!!次あれ!あれ乗りたい!!」
一松「さっきも行かなかった?」
「楽しいのは何回でも行きたいの!」
わがままだな、私って。
行きたい乗り物は、殆ど私が行っている。
一松君は嫌な顔せず、隣にいる。
だけど楽しくて私は他人の気持ちなんて全く考えていなかった。
そして、いつの間にか、空はオレンジ色に化していた。
***
「もうそろそろ終わりだね……どうする?」
もうすぐ遊園地の花火ショーがあるから、見て帰るか、そのまま帰るか…………
一松「乗りたいトコあんだけど」
「へ?」
一松「乗りたいトコある、来て、いや来い。」
一松君は私の手を強引に引っ張っては南西に向かって歩き出した。
***
「えーと……一松さん…ここは……?」
一松「分からないの?バカなの?遊園地なら何処にでもあるでしょ。」
「いや……ここは何処か分かるし遊園地なら何処にでもある訳でもないから。」
下に見えるのは小さな人。
目の前には、一松君ただ一人。
そう、私は今、観覧車に乗っている。
「何で…最後は観覧車なの?」
一松「んっと…………
……○○と二人で居たかったから…///」
「!!!」
一松君は右手で顔を隠してそっぽ向いた。
何…それ……
二人で居たかったとか…
「て、照れるじゃん………」
一松「………///」
「………///」
私と一松君は照れているせいでずっと黙りだ。
そのまま、オレンジ色の夕日は、いつの間にか藍色の夜空になっていた。