第10章 いつになったら気づいてくれる?(一松)
【一松】
11時。
○○の部屋のインターホンを押す。
「はーい」
○○の綺麗な声が木霊する。
ドアをがチャリと開け、綺麗に飾られた○○が現れる。
「あ!一松君!時間どうりじゃん!」
○○が俺に向かって笑ってる。
○○の瞳には、鏡見たいに俺が写っている。
○○は可愛らしい白のワンピースを見に纏っている。
なんか、こう言うお出かけ着を見ると、女の子って感じがする。
対して、俺なんかいつものグレーパーカーだし。
トド松辺りに服借りたら良かったのかな。
一松「○○、何処か行きたい事とかあるの?」
「あっ…と、」
あ…
決めてないのかよ。
言い出しっぺの癖に。
ったく………
一松「赤塚遊園地。」
「へっ?」
一松「赤塚遊園地、行こ。」
俺は最近オープンした赤塚遊園地を思い出した。
ただ、今時遊園地とか子供だよな俺…
○○、乗るのか?
「…………ぁ、行くっ!!!」
一松「え」
○○は一瞬目を輝かせて嬉しそうに言った。
そんなに良いのか、遊園地。
まぁ良いや、
一松「ほら、行くぞ。」
俺は○○の手を無意識のフリをして握った。
○○の前ではネクラな俺は、見せたくなかったから。
平気で○○の手を握れる男になりたかったから。
だけど緊張し過ぎて握った手に体温が高くなる。
手に汗が出てきて、脈が高まる。
手が硬直して、○○から手を離す事が出来ない。
あれ……
俺の手が硬直しているんじゃない。
○○が俺の手を握り返してくれてる。
体温と体温を交換するかのように指を絡めて。
○○の顔を確認すると、○○の顔は下を向いてるせいで見えなかった。
だけど凄く照れてるのが目に見える位分かる。
一松「照れる……」
○○に聞こえないように言った。