第16章 名前で呼んで?(おそ松)
その瞬間、トド松君の方を向いた私は、その目の前の彼に唇を奪われた。
甘く、とろけるようなキス。
………嫌だ。
離して欲しい。
別に、二人が嫌いな訳じゃない。
一松君を裏切るのが、堪らなく嫌なんだ。
寝ている一松君の側で、
こんなことするなんて。
でも、私は快感に飲まれ、視界が歪んでゆく。
おそ松「考え事?随分余裕だねぇ?」
チュプ…………
水音を厭らしく鳴らし、私の耳に入り込んでゆく舌。
「んんっ……///」
唇を攻められながら、耳も攻められる。
そのせいで、変な声出ちゃった。
息が苦しくなったのか、トド松君が唇を離す。
「んんっ……も………やめっ……////」
止めてと言っても止めてくれない。
そんなことを知ってなお、助けを求める。
トド松「○○ちゃん……これで二回目だね?………あれ?顔真っ赤だよ?………可愛ぃ///」
トド松君が私の髪を掬うように撫でる。
トド松君の温かい体温が私の全身を震わせた。
おそ松「マジで?俺にもその表情、見せてよ…………」
私は彼らに勝てる訳もなく、ただただ此方を振り向いた。
おそ松「本当だ、可愛いよ、○○。」
“可愛い”
そんな言葉、親戚の人や、近所の人のお世辞でしか、聞いたことなかった。
その言葉は無意識な誉め言葉の組み合わせか、
本当の言葉なのか、不安で仕方ない。
おそ松君は紅潮した私の頬にちゅ、と触れるだけのキスをする。
「おそ松君………」
私が彼の名前を口にすると、突然おそ松君が不機嫌な顔をした。
おそ松「……ねぇ、その“おそ松君”っての止めてくんない?」