第2章 二日目
「あ、準備できた? 帰りましょうか」
「う、うん。……っていうか、ほとんどミリィちゃんがやってくれたけどね……」
「ダメよ、フィル君。女の子になんでもかんでもやらせちゃぁ」
「僕がやる前にミリィちゃんがやっちゃうんですよ……」
ため息をつくと、ジェイさんはやれやれと首を振った。
「ほら、早く行かないと! 帰りに素敵なケーキ屋さんを見つけたから寄らないと!」
「えっ、ま、待って!」
慌てるが、ミリィちゃんはお構いなく手を引っ張っていく。
その後ろ姿を見ていたジェイさんは、思い出したように声をかけた。ツンとした薔薇の香水の匂いが振り返った時に、ジェイさんから漂ってきた。
「そうそう。ミリィちゃんの男装姿、なかなか素敵だったわよ~。色っぽくて、やっぱり元がいいとなんでも合っちゃうのかしらぁ? それとも、人魚の魅力?」
ミリィちゃんは肩越しに振り返ると、にっこりと笑って答えた。
「ありがとうございますっ。それでは、良い夜を!」