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ある一週間のこと

第2章 二日目




「う、うん、本当に助かったよ。僕だけだったら、ちょっと無理だったかも……」

「あらぁ、何かあったの?」


ジェイさんが首をかしげて尋ねると、僕は気まずく答える。


「今日、担当のお客さんにかなり迫られちゃって……でも、その時にミリィちゃんが通りすがりに『僕は全ての女性の王子様ですから、その誓いを破るわけにはいきません」って言って』ってアドバイスをくれたんです。それで、お客さんは引いてくれたんですけど……」

「あらあら、ミリィちゃんに感謝しないとね。フィル君だけじゃ、押し倒されてたかも」


ジェイさんが頬に手を当てて、ぱちっとウィンクするが、僕からしてみればアンジェラさんの先ほどの勢いだと冗談にならなかったと思い、少しだけ青ざめた。


「あ、あれ……? そういえばどうしてミリィちゃんは男性服を着て、お店に……」

「今日ちょっと人手が足りなくて、雑用を頼んでたのよ~。皆には内緒ねぇ」

「そ、そうですか……」


ミリィちゃんは僕らの会話が耳に入らないのか、どんどん僕の荷物をどんどんまとめていく。それを見ていたジェイさんが面白そうにくすくすと笑った。


「まったく、ミリィちゃんったらフィル君のお母さんみたいね。あら、女の子にお母さんは失礼だったかしらぁ?」

「私は気にしませんよ」


ミリィちゃんとジェイさんが顔を見合わせて笑い合っていると、僕は怒ることもできずため息をついた。ミリィちゃんとジェイさんは、僕よりも付き合いの長い友達だそうだ。
僕はテーブルの上に置いてあった自分の首を手にとって脇に抱える。



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