第3章 三日目
「フィル! 起きてもうお昼よ!」
体を揺さぶられて、うぅ……と呻く。昨日はミリィちゃんと一緒にカフェめぐりをしていて疲れてるんだ。もうちょっとだけ眠らせて……
「って、ミリィちゃん!?」
「おはよう、フィル!」
一気に目が覚めた。体をベッドから起こすと、横に置いてある首を体に取りつける。目を丸くしていると、ベッドの隣に立っていたミリィちゃんが満足そうな笑顔になった。
「ほら! 早く起きて、これ以上寝ると仕事に遅れるわよ!」
「え、ちょ、なんでここにいるの……!?」
「ドアの鍵してなかったわよ。不用心ね」
「本当……?」
うわあああ、きっと疲れて忘れちゃったんだ。アパート暮らしだから、もっと気を付けないと……。
頭を抱えていると、ミリィちゃんはキッチンへと歩いていく。きっと今の僕は髪の毛ぼさぼさ、寝巻もよれよれなんだろう。うぅ、朝からみっともない姿を見せちゃった……。
しょぼん、と落ち込みながらバスルームに向かっていると、キッチンからミリィちゃんの歌声が聞こえてきた。
春の小川のように透き通っていて温かさの感じる声に、思わずぼーっとしてしまう。
だけど、すぐに我に返ってズボンの裾を引きずりながら扉を閉めた。