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ある一週間のこと

第6章 六日目




「でもあなたが、まさか蘇生の魔法をするなんてびっくりしたわ」

「……そうだね」


ミリィちゃんの目とよく似ていたから、とは言えず、僕は曖昧にそう答えた。既に太陽は沈みかけて、海の表面は朱色から濃紺へと変わりつつあった。
ふと僕の心の中に冷たい風が吹き込んできた。


「でもね、思うんだよ」

「?」

「余計なことしちゃったかなって」

「え……」


ミリィちゃんが僕をじっと見てくるのがわかるが、僕はただぼんやりと水平線に目を向け続ける。


「小鳥は生き返ったけれど、またいつか時が来れば死ぬ。どんな命も不滅ではないからね。もし僕があの小鳥を蘇生しなければ、あの少女はとても悲しんだだろう。だけど、1回の悲しみで済んだんだ。僕が蘇らせてしまった事によって、彼女は2度悲しまなければならなくなった。……少女の笑顔が見れたのはとても嬉しかったよ。でも、それって僕のエゴで、本当は残酷だったのかな」


ゆっくりと太陽が水平線のはるか向こうへと去り、最後の朱色の明かりが消えようとしていた。

デュラハンは人の魂を狩るだけではなくて、死んだものを蘇らせる力もある。もちろん、死んでから10分以内という縛りはあるけれど、魂を操作することには変わりない。特別な力だから、本当に特別な時にしか使ってはいけないのだけれど。

何百年も生きているけど、こればっかりは僕にもわからない。きっと、一生わからないままなんだろう。

ただ言えるのは、凄く複雑で単純で、綺麗で醜くて、公平で不公平なのが命なんだろうってこと。

静かに水面を見つめる僕に、ミリィちゃんが小さく微笑んだ気がした。



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