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ある一週間のこと

第5章 五日目




また落ち込んでいると、ジェイさんが書類を横に置いて僕の隣のソファーに座った。


「まだお仕事までに、もうちょっと時間があるから聴くわよ? 遠慮なく言ってみなさい」

「う……あ、ありがとうございます。なんか、ミリィちゃんにいろいろ誤解されちゃったみたいで……」

「誤解? 何かしら?」

「そ、それはちょっと……」


流石にそこまで言うと、アンジェラさんに頼まれたことまで話さなきゃいけなくなる。ジェイさんにも関係があるとはいえ、簡単に人の頼みごとを口外できるわけがない。
僕がすみません、と言うと、ジェイさんは笑いながら首を振った。


「気にしないで。アタシこそ訊いちゃってごめんなさいねぇ。……そういえば、前から気になってたんだけど、ミリィちゃんとは恋人なのかしら?」

「えっ! ち、違いますよ! ミリィちゃんとは、友達って言うか……よくお世話してくれるって言うか……」

「あら、そうだったの? まあ、恋人って言うより親子って感じよねぇ。あっ、ミリィちゃんがお母さんね?」


またもやストレートに言われてしまった。うぅ、へこむなぁ……いや、事実なんだけど!


「それに……僕なんて、ミリィちゃんにつり合いませんよ」


ぼそっとそんなことを言うと、ジェイさんが呆れたようにため息をついた。


「そういえば、フィル君はデュラハンよねぇ。デュラハンって言ったら、人の魂を回収するのが本来の仕事でしょう?」


そう、僕はデュラハンだ。
人が死んだ時に、その魂がさまよって人にとり付かないように回収したり、死期の迫っている人の元に出て血をかけたりする。

人間の間ではいろいろ物騒なイメージがあるけど、別に無意味に魂を奪っているわけじゃない。ビジネスみたいなもんだ。まあ、命にビジネスっていうのも不謹慎とか言われそうだけど……。

少なくとも、デュラハンだからと言って、必ずしも人の魂を回収しないとダメというわけじゃない。他の仕事につくことも可能だ。



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