第4章 四日目
「あらぁ、ミリィちゃんにフィル君。どうしたの?」
「こんばんは、ジェイさん。私はキャンディを買いに来たんです。でもフィルは……」
ミリィちゃんがまた僕を見る。2人の視線が集中して、僕はうっと言葉に詰まってしまう。
こういうとき、なんて言えばいいんだろう。と、とりあえずアンジェラさんに言われた通りにしなきゃ。
「ぼ、僕はジェイさんにちょっと訊きたいことがあって……」
「んん? 何かしら~?」
「そ、そのっ。ジェイさんって、気になっている人とかいるんですか!?」
勢いで言ってしまったが、恥ずかしいってこれ! こんなセリフ初めて言ったよ。やっぱり僕には無理だったんだ。
しかもミリィちゃんの前で言うなんて、僕はどうにかしてる。赤面してうつむいていると、意外にも先に反応したのはミリィちゃんだった。
「え、フィル、あなた……え……?」
混乱したようにぐるぐると目を白黒させているミリィちゃん。あ、あとでちゃんと説明しなきゃ……。
ジェイさんは、目を丸くするとごっつい腕を組んで訊き返す。
「気になってる人……? それってどういう意味かしらぁ」
「えっと、その、好きな人? とか? ですかね?」
凄い疑問形だけど、ジェイさんは「あら」と一言言うと、考え込み始めた。僕はというと、冷や汗をかきまくって、早く答えてくれないかと必死に願う。早くしないと、緊張で僕が死んでしまうかもしれない。
「そうねぇ……いないわけじゃないわよ」
「え!? 本当ですか!?」
思わず食いついてしまった。
ジェイさんがぱちっとウィンクして、意味深にうふふと笑う。