第4章 四日目
▼◇▲
「な、なんでこんなことに……」
僕はナイトメアの外でため息をついて、座り込んでいた。いや……本当に僕は何やってるんだろう。
アンジェラさんが言うには、彼女の好きな人は僕と同じホストクラブのメンバーらしい。だから、僕が直接に好きな人がいるかどうかを聞いてほしいとのこと。
思ったよりも簡単な内容で良かったとは思ってるんだけど、やっぱりちょっと納得がいかない。その人の名前を訊いてみたんだけど、「えぇ~、恥ずかしいっ!」と言われてしまった。
意外と純情というか……メデューサだけど、こういうところもあるんだなぁ、アンジェラさん。
どうやらアンジェラさんの想い人は、毎晩一番最後に店を出るらしい。誰だろうか、と思ってみたけど、いつも先に帰っているので考えてみるだけ無駄だった。
目の前のカラフルなキャンディ屋さんを見つめながらため息をついたとき、僕の視界を人影が遮った。ハッと顔をあげると、そこには凄く見慣れた女の子が。
「あら、フィル? どうしてこんなところにいるの?」
「ミリィちゃん!」
今一番会うとまずい子に会っちゃった! ミリィちゃんはきょとんとした顔で僕を見下ろしている。今日は用事があるから迎えに来なくても大丈夫って、ミリィちゃんに連絡しておいたんだけど……。
「どうしてここに……?」
「買い物をしに来たのよ。今日はセールだって、お店の人が言ってたから」
ミリィちゃんが背後のキャンディ屋さんを指差す。うわぁ、想定外だった。ど、どうやって説明しよう。
「それより、フィルは? 用事があるんじゃなかったの?」
「え、えっと……」
僕が立ち上がってしどろもどろと返事に詰まっていると、背後のドアが開いた。振り返ると、そこにはオーナーのジェイさんの姿が。って、もしかして、アンジェラさんが好きな人って、ジェイさんのことだったの!? いや、確かによく見ると男前だけどね! 僕よりずっとかっこいいけど、これは驚きだよ!