第9章 不自然
「っ!?」
花宮はそのまま今吉を捉えたまま聞く
花宮「どういうことですか」
今吉「まんまの意味や。ただ、非公式で試合をさせてもらいたいんや。監督の許可無しにな」
花宮「…言わば、…ある意味『野試合』という所ですか」
今吉「その通りや」
花宮が眉をひそめる。
監督に許可を取らずに練習試合をするということは、生徒だけで行うということ。向こうが来るにしろこちらが行くにしろ、危険なリスクは沢山ある。確実にこちらが不利だ。そもそもなんでこんな無茶なやり方で練習試合を……?
花宮「明らかにこっちが不利じゃねーか。やってられるかよそんなこと」
花宮がの1歩前に出る。
今吉「おーおー、そんなに威勢よくなんなや。大丈夫やそのための青峰や。こちらからは夏目に手を出さへん。もしもの事があったらワシの首も危ない。その約束をするために2人で出向いたんや」
青峰「出向いたって言うよりも、連れて来られただけなんだけどなぁ」
今吉「まぁそんなん言わんといてーや」
花宮「目的はなんだ」
間髪入れずに突っ込む。
今吉「そんなん、強豪校のデータが欲しいから練習試合したいんや」
花宮「はっ…嘘がみえみえなんだよ」
今吉「…ほんなら練習試合してもらおか?」
花宮「おいおい…話が釣り合わねーじゃねーかよ」
今吉「……」
チッと花宮が舌打ちをしこちらを見る。
「……いいよ…やろう練習試合」
花宮「……大丈夫なのかよ」
「……絶対とは言いきれないけど」
今吉「……ほんなら決まりやな。日付はまたこっちから連絡してもらうわ」
青峰「ったく……俺が来た意味あんのかよ」
今吉「堪忍な〜、ほなな」
不敵な笑みを浮かべ背中を向け去るふたり。
花宮がその2人の背中が見えなくなるまで目をそらすことは無かった。