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Side by Side  【気象系BL小説】

第12章 Everlasting Sky


『東京には空がない』

そう言ったのは誰だったっけ?

東京に空がないと言った人が
【空】だと言っていたのは
今、みている空と同じものだろうか?



あれから3年。

ようやくこの地でコンサートが出来る。

会場に着くまでの車窓でみた風景。

番組の企画で訪れた場所。

まだまだ爪痕は深くって…。

少しでも何かを届けられればって思った。

今にも泣き出しそうな空をみて
思い出した。

昔、教科書かなんかで読んだあの一節。

「翔さん、『東京に空がない』って
 言ったのって誰だっけ?」

「確か高村光太郎の
《智恵子抄》の中だったと思うよ。
 だから実際に言ったのは
 光太郎の妻の智恵子だね」
 
「そっかぁ…なんかあのフレーズ、
 印象的でさ。
 阿多多羅山だっけ?
 智恵子の言ってたほんとの空って」
 
「安達太良山ね。
 ここからだと北西の方向に
 なるのかな、多分」

「相変わらず物知りだね、翔さん」

「ちがうよ、
 今回のセットリストみててさ、
 潤と同じく思い出しただけ。
 
 『東京には空がない』ってやつを。
 
 で、気になって調べちゃったの。
 
 実際ね、高村光太郎自身は
 東京に空があるって
 おもってるんだよ、あれ。
 
 光太郎自身は東京出身で
 東京育ちだからね」
 
「え?そうなの?
 『東京に空がない』って
 嘆いているだけだと思ってた」
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