第44章 Laurel

「へーー、観てくれたんだ」


「うん！ね、翔くん、すごく良かったよね、ニノの」


「え？なに？二人で見たの？」


ものすごい勢いで俺たちを見る雅紀。

さっきまであんなに鈍かったくせにこういうとこだけ反応するかなぁ？


「え？だって相葉ちゃんのこと誘ったのにロケだって来れなかったじゃん」


「そうだったっけ？」


「うん、試写室で見せてもらうことになってさ、誘ったじゃん？」


「あれ？ごめん、そっかぁ」


「ふふふ、相葉ちゃん、うっかりさんだね？」


それで納得したのか二人してニコニコしてる。

俺はいまいち消化できないままで…。


「それより、翔くん、そろそろスタジオに行かないと…。
　スタッフさん困っちゃうよ？」


そう言って笑われたら行かざるを得ないわけで…。

モヤモヤしながらスタジオに向かった。

それにしてもなぁ…。

あの人の映画、去年の邦画では興行収入かなり良かったし、それこそブッサンの映画よりも良かったわけだし…。

応援上映だっけ？
あれも全都道府県でやったって聞いてる。

どれだけ熱心に見てくれる人が居てもダメだなんて…。
なんかなぁ…。

いやここがそういう世界だっていうのはわかってるけど…。