第1章 君と僕
君の体温で温かくなったベッド。
君の香りを隣に感じる。
君に背を向けるように寝ころぶ僕。
腕がにゅって伸びてきて…僕を背中から包む。
背中を包む体温が
どれだけの安心感をくれるか
君は知ってる?
その安心感がほしいから…。
いつも君に背を向けてベッドに入るんだ。
すぐに眠りにおちた君。
だから知らないよね?
僕が君の方に寝がえりを打って
その腕に包まれることを…。
眠りに落ちるさなか、
寝相の悪い君の腕が離れていく。
それは止められないけど…。
明け方、浅くなる眠りのタイミングで
なぜか伸びた君の腕に
僕の頭を載せるのはなぜ?
少し硬い腕枕。
僕は寝てる振りをして
君の胸に顔をうずめるんだ。
そしてそのままもう一度眠りにおちる。
きっとこういうのを
【至福】っていうんだろうなぁ。
アラームが鳴って…目が醒める。
瞼を開けると僕の大好きな顔がある。
ちょっと眠そうな…イケメンがいる。
「おはよう、智くん」
他の人とは違うイントネーションで僕を呼ぶ。
やっぱり好きだなぁ、その発音。
「おはよう、翔くん」
朝の挨拶をする僕のことを抱きしめて
「充電完了!」って…言って
先にリビングに行く君。
うん、僕も充電完了。
今日もお仕事、頑張ろうね。