第35章 道
勝ち続けていた人が負ける。
勝ち続けることは本当に難しいけど…。
負けを認めることも同じぐらい難しいと思う。
負けを認めるのは自分の弱さを認めること。
自分の未熟な部分を認めること…。
足りない部分を知ることだから…。
ふと脳裏に浮かぶのはずっと先頭を走り続けていた先輩の姿。
先輩、そこの景色はどんなものですか?
そこの居心地はどんなものでしょうか?
そして今…どのように感じていますか?
世間の声が聞こえない訳じゃない。
俺達だってそれなりのことをやってきたし、多くのファンに支えられてる自覚もある。
でも…先輩たちと同じところに立ちたいとは思わないんだ。
たとえ祀り上げられたとしても…俺たちにはきっと居心地の悪い場所になるんじゃないかな…。
そこに立って後ろから足音が聞こえたら…とりあえず全力で逃げてみるけど…。
時が来たらバトンを渡せばいい。
それは決して悪いことじゃない。
どんな結果だって立ち止まることは出来ないから…。
一歩、また一歩、進むしかない。
でも俺達の道は俺達だけのもの。
その道筋に高い頂があったとして、そこに辿り着いたとして、ずっとそこにはいられないから…。
それを理解しながら歩いていけば…きっと。
今は泣いたとしてもきっと笑顔になれる日が来るから…。
俺はそれを心から祈ってる。
だから笑ってください。
胸を張ってください。
あなたのこれまでの道が、遺して来たものがこれからも燦然と耀き続けるから…。
俺たちも俺たちの道を行く…。
それでいいですよね?先輩。
さぁ…歩きだそう、明日へ。
《END》